身近なルーズリーフバインダー

バインダーで一番私たちが使うのはルーズリーフタイプでしょう。

いわくルーズリーフと略して呼ばれるノートブックです。

このバインダーの中には罫線をつけた紙が挟まっていて、ノートブックとして使いますが、学校や商店などで良く見かけます。

ただし、中央に留め金具があるので開いて右側の部分には文字が書きやすいのですが(右利きの場合)、左側の部分に字を書く時に腕が金具に当たるので、やや書きづらい経験をされた人が多いと思います。

理想的にはルーズリーフバインダーから中の用紙を取り出して、平面の上で書けばこの不都合は起きません。

そして、書き終わったらバインダーにその紙を戻せばいいのです。

しかし、枚数が多いとこれも意外と不便なことを実感されると思います。

複数枚にこうして書くとバインダーに戻す時に順番が分からなくなるからです。

そうかといって、1枚ずつ取り外したり戻したりも面倒なので、この点がルーズリーフバインダーではデメリットになるかも知れません。

とは言っても使って便利で、しかも、紙の抜き差しが自由なので愛用する人は多いでしょう。

家を訪ねてくる人に自宅への道順を書いた紙を抜き出せばその人に渡すことができます。

また、一枚ずつが単独なので、コピーをとる時に便利で、閉じてある普通の大学ノートのように中央が狭くなり、その部分がかすれたりゆがんだりしません。

さらに、ルーズリーフバインダーの表紙は大学ノートよりも頑丈にできていますので、持ち歩きに向いていますし、保管にも向いています。

大概の人はルーズリーフバインダーのお世話になっているか、なったことがある身近な文具です。

 

バインダーのできあがるまで

バインダーは厚紙(ボール紙)が主な素材になり、そこにクロスや箔押し、金具を使って完成に至ります。

このバインダー製作はとても一般の人にはできません。

バインダーはその道の専門の会社が特殊な機械と熟練の技を駆使して作られています。

ここでのバインダーは通常のファイルバインダーではなく、本格的な背表紙がついたバインダー製作の初めから完成までを簡単に見ることにします。

なお、中に挟む用紙や印刷物はこの段階では扱わず、あくまでも表紙と留めるメカがついているバインダーの製造過程です。

最初は材料の切り出しで、バインダー全体の大きさの厚紙(ボール紙)を所定の大きさに切り出します。

次に芯になるボール紙と表紙に貼るクロスを所定の大きさに切り出します。

ここまでが第一段階で、続いて第二段階は貼り加工です。

まず、クロスにのりをつけてボール紙に貼りつけます。

次いで中紙にのりをつけて貼りつけます。

その後はローラープレス機という機械を使ってしっかりとプレスして圧着します。

これで頑丈な表紙の土台ができました。

次は背表紙に中身を示す文字などを箔押ししますが、熱を利用するのでホットスタンプと呼ばれる作業で、ホットスタンプマシン(箔押し機)を使います。

いよいよ本番の綴じ具のための穴をあけますが、ここでは穿孔機を使います。因みに正確には穴ではなく孔です。

それから、背表紙の厚み(幅)に応じてスジ押し加工ですが、専用の機械が使われます。

これは第五段階で、この大界で綴じ具を取り付けてしっかりとしめます。

これで1冊の頑丈なバインダーの完成です。

 

クリップにはバインダーの役目がある

一度でも会社や事務所などで働いた経験がある人や、そうではなくてもクリップを知らない人はいないでしょう。

クリップも小から大まで、また形もさまざまですが、私たちは日常生活や会社などでクリップのお世話になっています。

そして、紙類をまとめるという機能の面からクリップを考えると、クリップも立派なバインダーなのです。

たかがクリップではないのです。

クリップも立派なバインダーの仲間に入れてあげましょう。

工夫次第ではいくつかのクリップと厚紙が2枚あればお手製の即席バインダーを作ることができます。

まず2枚の厚紙の間に留めたい紙類を入れます。

そして左側の上、中央、下をクリップで挟めばもうバインダーの出来上がりです。

試しに中型のクリップで耳たぶを挟んでみてください。

痛いのなんの、相当なバネの力があることを実感できます。

もちろんクリップはこんな悪戯のためにあるのではなく、メモ類をはじめ大小さまざまな用紙や印刷物を一時的にまとめておくのが目的ですから、クリップに紐や輪ゴムをつけて冷蔵庫の側面に取り付けておけばいろいろと重宝します。

また、別々に郵送されてくる光熱費や電話代の請求書類はクリップでまとめるようにしましょう。

そうすれば紛失の心配がありません。

ただしそれをどこかに仕舞いこむと面倒なことになりかねませんから、見える場所に置くようにしてください。

そして、クリップのバネは強力ですから、写真類などをクリップで挟むことは避けましょう。写真に跡がついてしまいます。

ファイルバインダーの種類

バインダーの一種にファイルバインダーがあります。

これをバインダーだと思っている人は少なくないでしょう。それほどファイルバインダーは私たちには身近な物になっています。

そして、その種類も多く、これがファイルバインダー?と思うようなものもあります。

ここでその種類を見てみましょう。

まずMPバインダーがあります。

これはバインダーを左右に開くと中央に綴じ金具が固定されていて、そこにたくさんのアーチ形をした櫛金具が左右交互につけられています。

この櫛金具を開いておいて、穴の開いた紙類を入れてパチっと閉めればOKです。

中の紙類がしっかりバインダーに納まります。

これと似ているのがリングバインダーで、これも半円の形の櫛が中央で噛み合います。

MPバインダーとの違いは左右が交互ではない点です。

なお、平てこ式、立ててこ式とてこなしがあります。

そのほかのファイルバインダーには中央の金具が左右に開き、そこに用紙を入れる方式や、留め金具の背を別の金具や厚紙で覆うようにスライドさせるものや、一方(上部)が固定されていてバネがついていて、用紙を挟んでからそのバネを下部に留める方式です。

また、形状や金具によりフラットファイル、レターファイル、スプリングファイル、キャップ式ファイル、パイプ式片開きファイル、パイプ式両開きファイル、スタンド式ファイル、ビス式ファイルなど、ファイルバインダーの種類は多彩で、それぞれがきめ細かい用途に使用されています。

お手許にあるファイルバインダーはこのなかのどれでしょうか?

なお、ほかにはコンピュータ用データファイルバインダーもあります。

クリップファイルもバインダーの一種

クリップファイルという事務文具があります。

一枚の板状のものですが、手で持つ上部にバネがついていて、そこに紙や書類を挟んでしっかり留めます。

実物を見れば何だこれかと納得されるでしょう。

道で通行人にインタビューをしたりアンケートをとる作業でクリップファイルを片手にしている人を見かけます。

また、町内会などで回覧物を回し読む時にもこのクリップファイルが使われます。

また、クリップボードとも呼ばれるようですがこれもその原理を考えればバインダーの一種と言えるでしょう。

つまり、紙類を表紙がないバインダーに留めるのがクリップファイルで、ここではクリップがバインダーとして重要な役目をします。

このクリップファイルをあえてバインダーと呼べば、実に便利な日用品になり、光熱費などの明細請求書をこれに挟んでおけば紛失の恐れはありませんし、さまざまなメモ類をまとめて挟み込むこともできます。

本格的なバインダーを使う前の段階でクリップファイルはいろいろな局面での簡易式バインダーと言えるでしょう。

例えば友人を集めて家庭麻雀を楽しむ時に点数をつける紙をクリップファイルに挟むとか、その用途はさまざまですし、何よりも頑丈にできていますから長持ちします。

どうでしょう、クリップファイルもバインダーの一種だと納得していただけたでしょうか。

そして、クリップファイルの応用や実用の分野は極めて広いので、新しい使い方をそれぞれで考えてみましょう。

使ってみると便利さにお気づきになると思います。

バインダーのいろいろな意味を知ろう

バインダーは日本で生まれたのではなく、遠く明治時代に海外から入ってきました。

その先はアメリカのようで、したがってbinderが語源であり、和訳されないでそのままの呼び名で現在に至っています。

ところで、バインダーと聞くと私たちは事務や文具の紙類を綴じるバインダーを連想しますが、英語でのbinderあるいはIT分野でのoffice binder(オフイスバインダー)にはまったく異なった意味があります。

ここでは通常のバインダーから離れてバインダーのいろいろな意味について見ることにしました。

まず、binderには「縛るもの」「結ぶもの}の意味がありますから、機械などでは例えば農機具の稲刈取り機の刈り取った稲を束ねる部分をバインダーと言います。

また、化学の分野でのバインダーは接着剤や固着材の意味になります。

これは物と物をくっつけるところからきています。

さらに、爆薬の表面をコーティングする合成樹脂もバインダーと呼ばれるそうです。

このように、その方法や目的は異なっても、物をまとめることができる道具類は大きな意味では全部がバインダーなのです。

なお、binderには結束させるという意味もあり、バインダーはあなかなか幅が広い言葉なのです。

しかし、普通の日常生活や社会活動の場でのバインダーは私たちが最初に思い浮かべる事務用品や文具のバインダーであり、これは諸外国でも変わりはありません。

なお、オフィスバインダーとはマイクロソフト社が開発したコンピュータの文書管理用ソフトの名称です。

このようにここでは雑学的にバインダーのいろいろを考察しましたが、ご参考になれば幸いです。

S型とE型バインダーとは?

バインダーには大きく分けるとS型とE型がありますが、これは日本ファイル・バインダー協会が国際的な呼び名にしたもので、堅く言いますとJIS5505で規定されています。

それ以前にはこのような呼称ではなく、縦型、横型、本型、チョウ型などの呼び方がありました。

ただし、平たく言えばS型は縦型であり、E型は横型になりますから、JISの呼称はそれほど一般的には浸透していないようです。

国際的な慣習としてバインダーの寸法を示す場合、綴じる側の寸法が先になります。

そして、それにしたがうと例えばA4サイズのバインダーは綴じる側(背のほう)が先になります。

すなわち高さが先にきますから297㎜で、横が210㎜になり、S型です。

これに対して綴じる背の部分が210㎜で横に長く297㎜のバインダーがE型になります。

なお、背の部分の厚さはこの場合関係ありません。

一般的に私たちが目にするバインダーはS型が多いのですが、税務関連など専門的な分野では広くE型が使われているようです。

また、バインダーの種類にはMPバインダーがあり、多穴式になっていて、アーチの形(半円形)の留め金具が左右に交互につけられています。

これはリングバインダーとも酷似しています。

そのほかには中の金具を開いて書類を挟んで綴じるコガネ式や、綴じた金具の上に板状の金具類を差し込むスライド式、金具の一方を固定し、他方をばねで留める横開き式もあります。

なお、綴じ穴はJIS S 6041(事務用の穴あけ器用)とJIS Z 8303(帳票設計基準)があり、穴の直径は6㎜です。

バインダーのルーツは?

バインダーはいつごろどのようにして出来たのでしょうか。

それにはバインダーのルーツを探る必要がありそうです。

ルーツと言っても人類のように大袈裟なものではないのですが、それにしても気になるところです。

日本では江戸時代劇などや昭和の時代の初期までは、大福帳が商いの大切な道具でした。

大福帳にはあらゆる種類の売り掛けや買い掛けが記録されていて、商人の大切な証しとして使われかつ保存されてきました。

これはまさしく今のバインダーと同じで、綴じ穴があり、丈夫な糸で綴じられていて、分厚い表紙がつけられています。

このような発想は日本だけではなく海外でも同じですが、明治時代に文明開化鐘の音とともに現在のバインダーの原型が輸入されたようです。

それももとはと言えば帳簿であり、商売の記録をつけるという考え方は日本も外国も同じだったのです。

明治時代には実にさまざまな製品が舶来ものとして輸入されましたから、バインダーが日本に紹介されても不思議ではありません。

そして、バインダーはその後改良が重ねられて、ルーズリーフ式が登場し、その穴の数も当初は2穴か4穴だったようですが、次第に穴の数が増やされていました。

これはバインダー金具の製造方法の進歩によると考えられます。

なお、ルーズリーフは日本で考え出されたそうで、まさしくバインダーの普及に一役も二役も買う大発明と言えるでしょう。

戦後になると国税庁が多穴式バインダーの使用を認めたこともあり、ルーズリーフバインダーが一世を風靡しました。

さらに時代は昭和から平成に入り、コンピュータの革新と普及に伴って、コンピュータ用のバインダーも登場する時代になりました。

バインダーとファイルは兄弟?

バインダーとファイルは一見すると極めて似ているのでその区別が外見からはしにくい場合があります。

しかし、バインダーと言ってもさまざまで、明らかにファイルと違うバインダーもあります。

また、例え外見が似ていてもバインダーとファイルではその使い方は異なります。

そこで、バインダーとはどのようなものを指すのかということになりますが、それにはファイルとバインダーの定義を知らなければなりません。

まず、バインダーとは、ルーズリーフのような綴じ穴がある用紙を入れる綴じ具が内部についている表紙(背表紙も通常はついています)のことです。

それに対して、ファイルは伝票や書類、あるいはカタログやパンフレットなどをそのまま袋に入れるものだと言えます。

したがって、ファイルに綴じ穴はありませんが、その代わりに紙類を入れる袋がついています。

この説明は日本ファイル・バインダー協会の解釈で、この説明で私たちはバインダーとファイルを区別しています。

さらに言いますと、バインダーに使う用紙は白紙で未記入のものであり、一方でファイルには記録済みの用紙を入れるとされています。

しかし、これは一般論であり、印刷された用紙をバインダーに綴じたりもします。

これは正確にはバインダー製本といいますが、ファイル製本はありません。

そして、バインダーもファイルも文書などの保管が目的であることに違いがなく、これがバインダーとファイルが兄弟のように似ている理由のひとつです。

結論的に言いますと、このようにバインダーとファイルは見た目には似ていても構造的には似て非なるものですが、その目的に大きな違いはありません。